私たちらしさは古着×古着にあった。アップサイクルブランド” MEND”の成り立ち

PRODUCT | 2018.12.11 | Writer:

12月15日(土)にmumokuteki京都店で、「○展」と題したPOP UP合同展を開催します。
この合同展は、わたしたちヒューマンフォーラムから生まれたアップサイクルブランド”MEND”と、循環することをテーマにしたリース作家のTaphy(タフィ)さんとの合同展です。この数ヶ月、捨てなくてはいけないお洋服の、私たちらしい活用方法を考える時間のなかで、Taphyさんとのご縁や、様々な気づきや出会いがありました。
様々な気づきからうまれた私たちの活用方法は、エネルギーや途上国支援でもなく、古着が大好きな私たちだからできる裂織りでのアップサイクルであり、そこには私たちらしい”バラバラが交わることのおもしろさ”がありました。
只今、当日に向け絶賛制作中ですが、いま感じていることをお届けします。

 


 

わたしたちらしい活用方法は?

私たちヒューマンフォーラムはスピンズ、mumokuteki、GALLERIEなどのブランドを展開するアパレル企業です。今、世界ではサスティナブル(持続可能な社会)への世界的な動きがあって、その中でもアパレル業界では売れなくなったお洋服の大量廃棄の問題があります。その量はなんと年間30億着/100t。わたしたちも業界の中では少ない方ですが、全体の約1%の捨てないといけないお洋服があります。

店頭での努力や様々な工夫の末、それでも捨てないといけないお洋服の、わたしたちらしい解決方法を考えてみよう!と、7月から社内でアップサイクルプロジェクトのチームがうまれ、ヒューマンフォーラムの井垣さんにお声をかけてもらって私もメンバーになりプロジェクトが始まりました。

丁度、同じ業界の取引先の方々とアパレル業界のサスティナブルの勉強会もあり、様々な事例を調べながら意見を交わしていきました。その中での気づきは、アップサイクルは解決の一部分でしかなく、アパレル業界の持続可能性を本質的に捉えるならば、環境負荷のかからない素材の製造から製造や流通、廃棄といった多様な側面で捉え方も必要で、廃棄されるお洋服の利活用についても、エネルギーや新しいファブリックにする方法など、様々な取り組みが世界には広がっていて、とても抱えきれない視野が広がっていってしまいました。

*アパレル業界のサスティナブルの勉強会。お取引先のfor itさんと

いろんな産業構造の問題にどうしていいかわからない気持ちになりましたが、メンバーの中から、エネルギーにするだけじゃなく、本来の使い続けるという選択肢はとても大事なことではないか?という意見がありました。なぜなら、そもそも次の人に渡って「長く着続ける」ことは、そもそもサスティナブルな選択でもあり、古着から始まったわたしたちが実感しやすい、とても身近でわくわくする選択です。
そこから「古着+アップサイクル」という視点が生まれていきました。

 

 

丁度その頃、洋服の利活用方法を考えていく際に、和服の”襤褸(ぼろ)”や”裂織り”を知る機会がありました。
当時の日本でも綿や麻の衣料品は原材料、生地、服と、全ての工程が手作業であったため当然高価なものでした。使い古して穴が空いたらパッチワークし、それでも着ることができなくなれば切り貼りして着る。さらに着古せば雑巾に。そして最後には畑で燃やして肥料にする。日本らしい「使い切るという文化」がそこにはありました。裂織りは、使われなくなった洋服を裂いて、また編み込むという、江戸時代から日本に続く習慣です。
姿や用途を変え使い切るかっこよさと、圧倒的な存在感のあるアイテムにメンバーみんなで興奮しました。

明治初期から大正時代の手織り木綿の布地を使った”ぼろ” 出典 tenstudio 

存在するものを組み合わせて、新しい価値をつくること

 

そして、Taphyさんとの出会いにも気づきがありました。
リース作家のTaphyさんがつくられるものは、季節の草花や身近な山野草、畑でとれたハーブをつかったもの。京都美山で、循環していくことをテーマに自然から採集したファーム&クラフツなプロダクトを展開されています。

Taphyさんは市内のシェアハウスに住まれてから、結婚と子供ができ、住む場所を探すことになり「不動産屋を通じてではなく、この大家さんがこの人だからという理由で住む場所を決めたいね」という夫婦の考えから、ご縁が京北で生まれて、移住することになったそうです。

Taphyさんがリースという表現方法に変わったきっかけも京北での生活にありました。
元々絵を描いていたTaphyさんは、絵の具を買って、キャンパスを買って絵を描くという、始まりを消費にしたつくることへの意味を見出せず、次は「生活やサイクルの一部」を感じれる創作活動をしたいと思われていました。
そんなことを考えながら京北での生活がスタート。そこでは、まさに自然や暮らしの循環したくらしがありました。ある日、散歩の途中に道端に咲いていたお花で輪をつくりたいと、つくったのが最初のリース作品です。丁度、ドライフラワーに関心をもっていた出路会長にプレゼントしてくれたことから、わたしたちのご縁はスタートします。

先日、今回の展示会のに向けた打ち合わせの流れで、Taphyさんにどんな気持ちで制作しているのかを聞く機会がありました。

“リース制作は今の生活スタイルにとてもあっているけど植物だけにはこだわっていない。要らなくなったものや、ガラクタをモチーフにしてもいい。そういう可能性をクリエイティブしていきたいという、気持ちになっています。今はモノがいくらでも世の中にある。出まくっちゃっている。新しいものが出てきているけど、出尽くしている部分もある。もしかしたら、私たちは時代の変わり目に生きているかもしれなくて、大事なのはこの時代に生きて、それぞれが何をするかということ。
最終目標は、みんなでつくる世界。今はつくる人と消費する人が分けられていると思っていて、それぞれが何かしらを生産してつながっていく。服で言えば、ジャケットをつくる人がいて ボタンは誰々のハンドメイドで、穴が開いたからあの人に繕ってもらおう。いろんな人でつくられた服を隣のおばちゃんも着ている。例えるならそんな世界を目指しています。このカバンは誰がつくったんだよー!カワイー!!っておしゃべりしている時が大好き(笑)

そんなお話をされながらもTaphyさんの手には、打ち合わせ中にいつのまにか作り始めた、小さいリース作品が出来上がっていました。

 

そこから、京都市の山間地域、京北で10月に開催されるクラフトマーケット「ツクル森」の出店にあたり、Taphyさんと一緒にその場所を作りたいとお声がけさせていただき、わたしたちは裂織りのアップサイクルブランドを作ることを決め、当日に向けた試行錯誤が始まります。

 

バラバラが交わると、こんなにもおもしろい

しかし、裂織りのアップサイクルブランドを考え始めてから、様々な課題がありました。
店頭に並ばなくなったお洋服は、素材も色も形状もバラバラです。裂織りにするには、まず色や素材の仕分けを行い、裂いて糸玉をつくり、デザインを想定し選定。糸玉を織り機で折って、製品に仕上げていくといった工程があります。根気がいるやつです。今後続けていくためにも、それぞれの工程のデザインが必要でした。
でも、まずは自分たちだけでやってみようと、必要なアイテム展開を考え、Taphyさんにもリース作品をご依頼。準備期間は2ヶ月しかありませんでしたが当日は様々な出会いが生まれていきました。

 

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同じ色で織ったファッション雑貨や、デニムのリペアアイテム。誰でも織ることができる織り機として木枠自体もインテリアアイテムとして展示。随所に世界観のあるTaphyさんのリース作品も展示しました。

裂織りは商品アイテム数が限られるため、販売よりもマーケット調査をメインにしました。加えて、「商品をつくる工程に、京北の方々もご一緒いただけないだろうか?」そういったメンバーの意見から、京北全体への眼差しがうまれ、当日は京北の方々にお声がけさせていただき、そこから偶然のような広がりがうまれていきました。

当日は、来られた方に1.集める 2.糸玉をつくる 3.編む という工程をご説明し、実際に編んでもらったりしながら、一緒にしたい人を探している、という投げかけをしていきました。
「楽しい、ずっと編んでいたい」「こんなアイテムがあったらいいね」といった声や、一緒に関わることに興味をもってくださったおかあさんや、家にあった着物の残反をお持ちくださったおばあちゃんもおられました。

Taphyさんの作品は存在感があって、お客さんからリースについて聞いてご質問をたくさんいただき、先日の台風災害に落ちていた木々や植物で作られていることをご説明すると、とても興味深い反応をいただけました。そして、あるお母さんが京北のエピソードを教えてくれました。
「昔、京北には西陣織の工場がたくさんあって、京北のおかあさんが着物などの衣料品を作っていたんです。うちの実家も昔その工場だったんです」
ファッションにまつわる土地の記憶が京北にあったことにメンバー同士でとても嬉しく思いました。

この取り組みを京北の方とも一緒に作ると臨んだ結果、12月15日の「○展」に並んだ商品に使われている裂織りのパーツは、このPOP UPの縁で繋がれた京北の福祉作業所さんの利用者さんや当日出会えたお母さん2名が関わってくださっています。

 

 

これから

「MEND=繕(つくろ)う」をブランド名に、長く工夫しながら使い続けることをとらえ直しながら、たくさんの人と育んでいきたいと思っています。素材も色も違ったモノを、多様な人が関わりながら交わって新しい価値がうまれていくこのおもしろさ。メンバーの井垣さんから出てきた「ばらばらが交わると、こんなにもすばらしい」という言葉は、生まれ育った環境や個性・特性が多様な、わたしたちヒューマンフォーラム自体でもあるように思います。

まだこのブランドは捨てる量を全てカバーできるものではありません。
でも全国のお店にMEND+ミシンをおいたらどうなるだろう。全国のヒューマンフォーラムのお店にこういうブランドが生まれていったらどうなるんだろう。また社内外の方々と様々な展開を考えていきたいと思います。
まずは今週12月15日土曜日開催の○展、是非お越しください

 

>>>12/15の展開はこちらから

 

 

 


MEND
SPINNS、mumokuteki、GALLERIEなどを展開する株式会社ヒューマンフォーラムのアップサイクルブランド。自社だけでなく異なる業種、業態と一緒にMEND(繕う)を通じて、愛着があって永く着れる生活を提案。ダメージの大きい古着のリメイク、洋服を裂いた新しいファブリックや生活用品など、ファッションを使い続ける新しい提案をしています。

 

Taphy Nosse(タフィー ノッセ)
山口貴恵 Farm Handcrafts 19歳より絵画を始め、独学でアートの世界に進む。 その後、東京、NYで個展をひらくなどし、2011年より京都に暮らす。現在は、京都山間部で、自ら採取した季節の草花、山野草をもちいたリースの個展、空間装飾、ワークショップなどを行なっている。


この記事のライター

前田 展広

前田 展広
アップサイクルプロジェクト開発担当

いろいろなとこで働くプロジェクトおじさん。41歳になってから多動が止まらない。最近絵を描きたいと思っている。http://maedanobuhiro.com/

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