アメリカ先住民ホピ族の村を訪ねて(後編)

SOCIAL | 2018.05.28 | Writer:

前編からの続編です 前編 → https://magazine.humanforum.co.jp/topics/social/62/

 

予言の岩絵

エメリーが言った。
「そんなに時間もないから、2人の新しい友達に『予言の岩絵』と、わしの新しい畑を見てもらわないといけないな。」
僕達3人はエメリーと一緒に、オールドオライビ村の近くにある「予言の岩絵」に行くことにした。
北米大陸で最も古いとされる村が、ホテヴィラの隣の「オールドオライビ」である。キリスト教の教会がバハンナの手により建てられた時に、ホピに伝わる予言の石板の一節を戒めのために刻んだと言われる「予言の岩絵」。
ある時、落雷がその教会を貫き全焼したそうで、ホピは他のプエブロの人がキリスト教に改宗する中で、今でも昔からの信仰を保ち続けている。
オールドオライビ村を通り過ぎて、進歩派と呼ばれたキコツモビ村を眺めおろす台地の上にその岩絵は鎮座する。
この岩絵は色々な解釈があるが、僕が知るところではざっとこんな感じである。
「下の方に書かれた人物はホピではマーサウと呼ばれるグレートスピリットです。人類は始まりの時にこの円で示された教えをマーサウから授かりました。しかし人類はやがてこの二つの線に表されるように生き方を失っていきます。この下に続く道がホピの生き方と言われ、上に続く道が現代人の生き方と言われています。
やがて、上の線はジグザグに上昇して行き途中で切れて破滅してしまいます。
下の線は真っ直ぐに進み、岩の後ろまでずっと続いているのです。
ここに線の上に円い印が3つ書かれていて、これが第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして第三次世界大戦を表していると言う解釈もあります。下の線では、とうもろこしが植えられ、ホピの伝統的な生き方が継承されています。
ちょうど2つの円の後ろに上の線から下の線に降りてくる道が描かれています。
これがこの現代であり、人類はまさに地球を中心とした生き方に戻る時期だと言われているのです。」

「予言の岩絵」の前で、岩崎と井垣は何を思ったのだろう。
僕は何度も何度もここを訪れたが、その度に地球の末期的な状況に心を傷めてきた。しかし、今回は時代が変わりつつあることを感じている。
それは、今回の取材でここを訪れた事が象徴している。なぜなら、ホピの「予言の岩絵」を学びに来る企業がいるんだから。
以前は、地球の惨状を只々感じて、追い詰められた心境の僕がいた。
でも、今はこれを回避する為に、ようやく現代人が行動しだしている。「WorldSift」「SDGs」、そういった答えに向かって進みだした実感。そしてそれは、僕の周りでも明らかに、生き方や事業の中心へと向かおうとしている事が分かるのだ。
もう、妄想の話では無い。現実として人類は地球の終わりを回避しようと立ち上がろうとしている。

エメリー・ホルメス氏と「予言の岩絵」の前で

 

 

伝統を守るとうもろこし畑

エメリーの新しい畑はキコツモビ村を東に行って、途中からダートロードを走るかなり荒野の中にあった。
道中、エメリーは言った。
「この道は私が作ったんだ。長い時間かけて何度も何度もトラクターで作った道なんだ。」
この荒野に走る道をエメリーが1人で作ったと思うと、感慨深いものを感じた。
日本ではもう道を作る機会なんか、なかなか無い。彼にとってそれほど、主食であるとうもろこしを作る事が重要なんだろう。
ここは、以前のエメリーの畑とは3倍以上も大きいだろうか。新しい畑といってもエメリーのおじいさんから継承した畑だそうで、もしかしたらすごい年月を経て継承されてきたものなのかもしれない。
そんなエメリーも去年は大病を患って、もう最期だと思ったそうだ。
そこから奇跡的に回復して、まだまだ元気にコーンを育てていきたいと目を輝かせている。
畑にはモバイルハウスのような小屋が立ち、そこにはキッチンも完備されていて十分な生活が出来るような設備が整っている。ちなみに家からは車で15分ぐらい離れている場所だ。
エメリーにはこのヒューマンフォーラムと言う会社がどんな会社なのか、新しい価値観を見出そうとしている話、コミュニティを創ろうとしている話、アパレルの会社なんだけど、もう10年も農業をやっていてスタッフは皆農業研修を経験している、そんな話をしていた。
とうもろこしの栽培をしている時期に若いスタッフを連れてきてもいいだろうか?僕がエミリーに聞くと、大歓迎だと言ってくれて、
「この小屋に住むことも出来るし、畑を手伝いに来てここで生活をする事は大変良い経験になるぞ!」
そう言ってくれた。
岩崎が
「ホピの伝統派のとうもろこし畑に援農に来る企業なんて世界探しても無いですよね!」
と、嬉しそうに言いだした。
こういった発想が普通に出てくるところが、僕がこの会社に惚れ込んでいる理由の一つだ。
この経験で一体何が得られるだろうか?何か経験を通して僕らが普段想像がつかないようなことが出来たらいいな!

主食であるとうもろこしを育て続ける事が、ホピの伝統を守る上で大変重要なのだ。

 

コールマイキャニオン

ホピ国では、とても強いバイブレーションが感じられ、どこにいても特別な感じを受けるのだが、この居留地内には、地図にも載っていないキャニオンがある。
そこは264号インディアンハイウェイからは見えない場所にある「コールマイキャニオン」だ。
どこまでも続くキャニオンは美しい色彩に彩られた、まるで誰かが意思を持って創造したかのような風景である。
ここに立つ時、誰もが自然の持つ意思のようなもの、この地球が生きているのだという実感を感じるのだ。
この特別な場所での特別な時間の中で、この場が私たちに語りかける。
これこそはあなたであり、誰のものでも無い。これは独立しているが、完全に溶け込んでいる。
誰も所有できないし、誰も何も持っていない。私はその一部であり、その感覚は不安でも無く、歓喜でも無い。
私はこれっぽっちだが、一部であり、そこから全体へと旅に出ることも出来るのかもしれない。
世界とはそういうものであり、現代の閉塞した空間では感じられないものがここには脈々と波打っていた。

 

ホピから学ぶもの

僕はちょっと会社から離れたスタンスでこのヒューマンフォーラムを見ているので、非常にこの会社の楽しさがわかるし、それが少しでも沢山の人に伝わることを願ってこのウェブマガジンの企画を提案したが、本当楽しみで仕方がない。ホピに来る提案をしたことも本当に良かった。
僕たちは翌日もエメリー宅で過ごし、岩崎も井垣も家族と短期間で仲良く交流しているようだった。

エメリーの孫娘は井垣が大変お気に入りのようで、見ていて微笑ましかった。岩崎はホワイトコーンの脱穀にはまっている(笑)。
ネットには情報が溢れ、日常的にスマホから大量に情報が流れて来る事で、何でもかんでも知っている気分の現代人。
でも、経験しか事実じゃ無いし、経験しないと次には行けない。
なぜ、このホピの村はここまで長く続いてきたのだろう。25年続く株式会社は0.2%と言われる日本で、ヒューマンフォーラムは永続的に続くコミュニティと言うものを、少しだけ意識する事が出来たのかもしれない。
そこで見たものは、生かされているのだと言う実感と、足るを知る生活。
彼らが大切にする伝統的な生活。とうもろこしを主食とした生活スタイルの中には、それを育てる為に常に自然の中で地球を感じながら生きる喜びが溢れている。
母なる地球、父なる空が、今日も私を包んでいる。当たり前に感じる日常が、この地球環境という宇宙においても大変稀な奇跡の積み重ねによって成り立っている事を感じる時、私たちはこのかけがえのない時間を大切に育んで生きていかなければならないと心から感じた。
関わる全てに感謝致します。ありがとう。

 

前編 → https://magazine.humanforum.co.jp/topics/social/62/

 

ホピファミリーとの交流の報告と「ホピの預言」の上映会を開催します

 

2018年6月23日(土)

@mumokuteki ホール(〒604-8061 京都市中京区式部町261ヒューマンフォーラムビル 3F)

映画『ホピの予言』上映会&交流会 「HF magazine連携イベント」
32年前に公開されたドキュメンタリー映画『ホピの予言』は、世代を超えて、今も観続けられているドキュメンタリー映画です。
(株)ヒューマンフォーラムがお伝えする「HF magazine」が5月からスタートし、第一弾のコラムが編集部の井垣、廣海と社長の岩崎の3人でホピを訪れるという内容でした。
この3人のホピ訪問の報告会を同時に開催致します。
また、監督の故宮田雪さんのパートナーである辰巳玲子さんも加わって頂き、LAND and LIFEの取り組みや、ホピの現状についても織り交ぜてお話をして頂きます。

『ホピの予言』監督宮田雪 75分 1986年
『浄化の時代を迎えて』撮影・構成辰巳玲子 25分 2004年

★参加費(1回の上映参加費/交流会は無料)
一般 1500円 学生1000円 高校生500円 以下、無料
参加費は当日受付でお支払い下さい。学生、高校生の方は学生証を御提示下さい。上記料金で御鑑賞頂けます。

※完全予約制(参加ご希望の回の右URLからお申し込み下さい)

1回目上映会 13:00~14:50         http://urx2.nu/Kh8R

1回目交流会 15:00~16:45         http://urx2.nu/Kh9O

2回目上映会 17:15~19:05         http://urx2.nu/Kh93

2回目交流会 19:15~21:00         http://urx2.nu/Kh9Y

この作品は、アメリカインディアンの教えや世界観、地球環境、平和、自然に沿った暮らしなど、いくつもの視点からアプローチしていただけると思います。
現代を取り巻く様々な問題に対して警告を発し続けて来たホピ族の人たちに対して、ようやく現代社会が追いつこうとしているように感じています。

ヒューマンフォーラムの取り組みと「ホピの預言」。この取り合わせの中から新しい世界観が生まれ、このかけがえのない地球上での営みが永続的に続く為の一つのきっかけとなる事を願っています。

★プログラム
1回目上映

『ホピの予言』       13:00~14:15            http://urx2.nu/Kh8R

休憩            14:15~14:25

『浄化の時代を迎えて』   14:25~14:50

休憩            14:50~15:00

交流会           15:00~16:45            http://urx2.nu/Kh9O
辰巳玲子さんとヒューマンフォーラム廣海緑朗、井垣敦資のお話会

2回目上映

『ホピの予言』       17:15~18:30            http://urx2.nu/Kh93

休憩            18:30~18:40

『浄化の時代を迎えて』   18:40~19:05

休憩              19:05~19:15

交流会             19:15~21:00            http://urx2.nu/Kh9Y
辰巳玲子さんとヒューマンフォーラム岩崎仁志、廣海緑朗、井垣敦資ののお話会です

★映画解説
北米南西部の砂漠地帯に住むアメリカ先住民族ホピは、古代より「偉大なる精霊」から授かった教えを口承や絵で伝えてきた。
ところが、1948年精神的指導者が集まり、広島、長崎に投下された原爆を、教えの中にある「灰のびっしり詰まったヒョウタン」と理解し、4人のメッセンジャーを選んで、物質文明への警告を発したのだった。ホピに起こることは世界に起こる、と伝統を重んじるホピによって信じられてきたからだ。

自然(natural)に添った、質素(simple)で、精神的(spiritual)な生き方こそが、私たちに残された唯一の道である、とホピは語るのだった。
ホピとは「平和に満ちた人々」という意味であるのと同時に、偉大なる精霊の教えを信じ、従う者のことをいう。

 

★辰巳玲子プロフィール
1957年神戸生まれ 1988年『ホピの予言』上映会を通じて、ホピのメッセージと出会い、以後、監督宮田雪と連れ添う。1995年脳内出血で療養生活に入った宮田の介護の傍ら、2004年『ホピの予言2004年版』を制作し、ランド・アンド・ライフの活動を再開。2011年宮田をスピリットの世界へ見送り、縄文の地、群馬の山間に移住。311後の世界を地球人としてどう生きるか、映像製作、出版、上映などを通して、ホピのメッセージを伝え続けている。

ランド・アンド・ライフ https://www.landandlife.org/

★ヒューマンフォーラムからの登壇者
岩崎仁志、井垣敦資、廣海緑朗

 

★HF magazine
https://magazine.humanforum.co.jp
「素晴らしき仲間の集い」を社名とするhumanforumが運営する新しいウェブメディアです。
人と人との間には_スペースが存在します。
その_スペースにあるのはいろんなカタチの<つながり>です。
その<つながり>を、また、そのつながりからうまれるものを拾い集め、伝えていきます。

今回、アリゾナ州に住むホピ族ファミリーを訪問したお話はこちらをご覧下さい。

アメリカ先住民ホピ族の村を訪ねて(前編)
https://magazine.humanforum.co.jp/topics/social/62/

アメリカ先住民ホピ族の村を訪ねて(後編)
https://magazine.humanforum.co.jp/topics/social/290/

主催:ヒューマンフォーラム
お問い合わせ:hall@mumokuteki.com


この記事のライター

廣海 緑朗(ヒロミロクロウ)

廣海 緑朗(ヒロミロクロウ)
HF magazine

廣海緑朗 1965年生まれ。東京・北海道を経て1980年より京都在住。
1981年より音楽・アート・映像などのイベントを京大西部講堂などで企画制作する。 1987年に観た映画「ホピの預言」(監督:宮田雪/制作:Land and Life)の影響で7回渡米し、北米先住民の居留地を旅し、 居留地での核実験やウラン採掘、強制移住の反対運動に参加。
1993年から映画「ホピの予言」を制作した『Land and Life』に参加。 上映や講演で、先住民の現状や世界感を知ってもらうために力を注ぐ。 2002年以降は音楽と環境問題に視点を置いたイベントの制作を行う。 2012年、福島原発事故で放射能汚染の実態を知り、安全な食べ物を提供したいと自ら測定した食材を使ったレストラン「NONベクレル食堂」を左京区岩倉に開店。 2014年、店を三条猪熊に移し「ノンベクキッチンホテヴィラ」として開店 。 2015年、京都市議会議員選挙に市民派として立候補。2282 票で落選。 2016年、「ノンベクキッチンホテヴィラ」を閉店。食品の放射能測定は4年間で900検体に及ぶ。「NPO法人みんなの地球のくらしかた」を立ち上げ、社会事業を世に広める活動を開始。 2017年、(株)ヒューマンフォーラムの「mumkuteki」の中でイベント企画制作、カフェのオーガニック食材の仕入、goodsへの商品紹介、ファームのイベントなど、ヒューマンフォーラムのコミュニティー化に向けてその一端を担う。信頼資本財団「A-KIND塾」3期生。2児の父。

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