新しい価値が生まれる場所と持続可能な文化を作る – オタク社員による社内ベンチャーの取り組み

WORK | 2018.06.21 | Writer:

私たちは「生き方共創企業」です。

humanforum(以下弊社)の事業のほとんどは衣料品や雑貨の販売であり、お取引先様やお客様の多くの方にもそのように認識されているのではないでしょうか。

しかし弊社の社訓には、このような文章があります。

 

当社は、社員スタッフとその家族、お客様、お取引先様、そしてたずさわる全ての人々との「つながり」を大切に、まったく新しくとんでもなく面白い価値や「生き方」を共に生み出し続ける「生き方共創企業」である。
http://www.humanforum.co.jp/about

 

これまで私たちは、若き日の弊社代表がパンクファッションとの出会いで人生が変わる程の影響を受けたように、ファッションを中心にしてお客様の生き方に響くほどの感動を提供できるようなお店を展開して来ました。

その想いは音楽やアート、ユースカルチャーをミックスしたライフスタイルを提案するSPINNSや、より個性的なファッションの魅力でお客様の人生にワクワクとドキドキを与えるGALLERIE、そしてカフェやセミナー、イベントを通して「いきること」をお客様と一緒に作っていくmumokutekiへと受け継がれています。

 

そして、今回はそんな弊社の事業部の中でもとりわけ異色なショップ「PARK」とそれを運営していて筆者自身も設立から参加している社内ベンチャーチーム「ユニットwww(ダブルダブルダブル)」についてご紹介します。

 

 

PARKと社内ベンチャーチーム「ユニットwww」

原宿のキャットストリートから外れた路地裏の雑居ビルの一室に「FASHION × OTAKU × CREATION」をテーマにしたショップ「PARK」はあります。

ショップには3人の可愛い女の子のイメージキャラクターがおり、そのキャラクターIP(知的財産)を用いたオリジナルグッズや、ここでしか手に入らない様な国内外のクリエイターのアイテムの販売、クリエイターとのコラボレーションの展開などを中心に、アニメコラボレーションアイテムや既存のIP商材などのアイテムを取り扱っています。

アニメのキャラクターをイメージしたフレグランスはPARKでも人気アイテムのひとつ。

そしてこのショップを展開している社内チームが「ユニットwww」です。

2013年夏に、当時弊社のお取引先様であったブランドの社長(現PARK部門長)が持ち込んだ事業案を元に結成されました。

当時、スマートフォンのソーシャルゲームアプリに熱中していた彼が、ゲーム内のギルド(チームやサークルのようなもの)の中で、実生活が苦しい状況にあった一人のプレーヤーを、実際の顔も名前も知らないギルドメンバーで支えてそのプレーヤーの実生活の問題を解決していく様を目の当たりにし、そんな年齢や性別、職業や立場などが様々な人たちが、共通の好きなことの元に集まり新たな価値を生み出すような場を3次元で作りたいという想いによって企画されたのが「PARK」でした。

 

 

私たちが提供するのは「新しい何かが生み出される場所」

PARKが店舗として運営されている一方で、ショップのイメージキャラクターを主人公にしたIPコンテンツの世界規模での展開、アイドルなどへの衣装協力、クリエイターのマネージメントなど小売業以外の事業も手がけています。

それは、私たちが「商品を売るお店」を作ったのではなく、様々な人たちが集まることで何かが生まれるような「プラットフォーム」を作ろうとしているからです。

お店にはクリエイターが来店記念に自分のステッカーを貼れるスケートボードが設置されている。
このアイディアもまたお客様から頂いたもの。

イメージキャラクターのデザインを手がけるイラストレーターの「たなか麦」さんは、年に2回東京ビッグサイトで開催される日本最大級の同人即売会「コミックマーケット」で2013年冬にユニットwwwにスカウトされ、2014年春に「PARK」はオープンしました。

そして同年、偶然PARKを知ったCrunchyrollという、日本以外のほぼ全世界に向けて日本のアニメを翻訳して公式に配信している企業の日本法人スタッフとともにPARKのキャラクターIPのコンテンツ企画がスタート、2015年にCrunchyrollサイト内にてイラストノベル「PARK:HARAJUKU Crisis Team!」の連載が開始され、2017年秋に一つの大きな成果物として、「PARK」を舞台にしたTVアニメ「URAHARA」が日本国内にて放送、また放送と同時に海外に向けて世界中にネット配信されました。

また、このアニメの中には、実際にPARKで取り扱われているクリエイターの作品が背景に描かれていたり、毎回の放送終了後に流れるエンドカード(*ゲストによるイラスト)にも、これまでPARKと取り組みをしてきたクリエイターが参加するなど、PARKというお店、キャラクター、アニメというそれぞれのメディアがクリエイターを巻き込んだプラットフォームとして表現されました。

 

一方でPARKのキャラクターは、この一連のCrunchyrollとの企画以外にも新たな展開を広げていく予定です。

現在は、PARKに常連客として遊びに来てくれていたAI技術者の神田川雙陽さんと、eoやmineoを展開する会社、ケイ・オプティコムが運用するカルチャーマガジン「Zing!」、声優事務所のsigma seven [e:]様と協力して、PARKのイメージキャラクターを用いたAI接客システムを1年をかけて開発する企画記事が連載中です。

PARK店内に開発中のデジタルキャラクターが投影されている。

 

 

作り手に向き合う事業であること

PARKをはじめとするユニットwwwの活動を通して、私たちは大きな課題に気づきました。

それは、IPを生み出しているクリエイターへの経済的な負担の増加です。

世間では日本が世界に誇るテレビアニメに対して、アニメーターとして働く人への報酬の厳しい状況などがメディアで取り沙汰されています。

 

私たち自身も、アニメ制作の現場に実際に参加することによって、実情を垣間見ることができました。

本来、リスクを分散しながら効率よく高品質な作品を生み出すために構築された仕組みの歪みや、関わる企業や業界の複雑化などから様々な問題が生じ、そのしわ寄せが実際に作品を「作る人」達に出ているのだと感じました。

 

その原因にはマーケットのバランスが「買い手>売り手>作り手」という消費者優位の構造になっていることがあるではないか、私たちはそのように考えています。

大衆のニーズが「より良いものをより安く」という方向へと加速していく現代で、買い手と売り手のwin-winの為に作り手とそのコンテンツが大量消費され使い捨て状態にある、そのようにさえ感じる場面もあります。

そのままでは私たちの好きなカルチャーは枯渇してしまい途絶えてしまいます。アニメや漫画、ゲームなどオタクコンテンツが好きな私たちにとってその状況は望ましくありません。必ずしも「お客様のニーズ(お客様が喜んでくれる事)=マーケットにとっての善」ではないのです。

 

最近話題になっている「海賊版サイト」の問題も、作り手ではない側の人々から「コンテンツは無料の時代」「手段を問わず便利であることが善」という主張がされるなど、コンテンツも必ず誰かが技術や時間をかけて作っている有限のものであることへの敬意が失われているように感じました。

特定の文化の中での流行はスクラップ&ビルドを繰り返しながら発展していくものではあると考えますが、20世紀に大衆の利便性と引き換えに環境資源やエネルギー資源を失ったように、次は利便性と引き換えに「文化資源」を失うのではないか、そのように感じるのです。

 

そのような思いから、まずは私たちの周りからだけでも「買い手>売り手>作り手」という構造バランスを「買い手=売り手=作り手」へと変えていきたいと思っています。

広告収入やサブスクリプションなど時代に合わせて収益システムも多様化してきましたが、少なからず「作り手」には対価が還元されるべきだと私たちは考えます。

 

前述のCrunchyrollでは無料配信の広告収益のうち、配信コストを引いた残りの50%を版権元へと還元するというエコシステムを確立させており、日本のアニメ業界をサポートしているという当事者意識を持っているユーザーも少なくありません。

また、今でこそ大きな市場を持つオタク文化もかつてマイノリティ文化であった名残から、前述のコミックマーケットでは「全員が対等な参加者であり、お客様はいない」という理念が現在も掲げられていたり、好きなアニメ作品の続編を作ってもらう為に視聴者にDVDやBlu-rayを購入して制作を支援するという意識があったりと、一人一人の「自分たちが文化を守る」という意識の高さも感じます。

 

上記のような事例も参考にしながら、これからはオタク市場にかかわらず、私たちが特定のカルチャーを取り扱う時に本当にそのカルチャーを好きなのであれば、買い手と売り手だけではなく、そのカルチャーを作っている人たちも含んだたずさわる全ての人々との「つながり」を大切にした市場のあり方を目指していく必要があるのではないでしょうか。

 

 

新しい価値が生まれる場所と持続可能な文化を目指して

ユニットwwwは、今後も様々なメディアを通して様々な方々と一緒に新しい何かを生み出していけるような場づくりと、自分たちが大好きなアニメや漫画、ゲームといったオタク文化に還元できるような仕組みを作っていけるよう模索していきます。

そんなユニットwwwが運営するPARKが、2018年春に竹下通り傍にあった旧店舗からキャットストリートの路地裏に移転して来ました。この雑居ビルは2014年にPARKが初めてオープンしたビルなのです。

イラストレーターのたなか麦さんによるイラストが描かれた窓が目印。

創立の地にパワーアップして戻って来たPARKと、新しい何かが生まれるような場所を目指して、弊社の既存の小売業だけでない様々な新規事業を展開するオタク社員によるユニットwwwの今後の活躍をどうぞご期待ください。

 

 


 

 

PARK
「FASHION × OTAKU × CREATION」をテーマにしたお店。
イメージキャラクターは、須藤りと、綿紬ことこ、白子まりの三人娘。
ファッションカルチャーと、アニメやマンガを始めとするオタクカルチャー、そしてクリエイティブに携わる様々な人々が交わることで化学反応を生み出し、新しい何かが生まれるクリエイターのプラットフォームのような場所を作ること、そして私たちにワクワクを与えてくれる“クリエイティブの現場”に還元できるエコシステムの形成を目指します。
http://www.park-harajuku.com/

 

PARK ONLINE STORE
https://park-harajuku.net/
We’re based in Japan.
You can use tenso.com if you want to purchase on international.
http://www.tenso.com/en/
You can pay with credit card or Paypal.

 

店舗営業時間
平日 / 14:00 ~ 20:00
土日祝日 / 13:00 ~ 20:00
定休日 / 毎週水曜日

TEL:03-6271-4888

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3丁目15-8 シャンブル15 207号室
JR山手線「原宿」駅 徒歩10分
東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前」駅 徒歩8分

※クレジットカードでのお支払いに対応しています。


この記事のライター

Kazuki Kanayama

Kazuki Kanayama
HF本部WEBデザイナー / PARK

1987年まれ。京都市出身。京都市在住。
滋賀県の公立大学〜大学院でデザイン全般と地域ブランディングについて学び、卒業後はHF本社所属のインハウスWEBデザイナー兼フロントエンドエンジニアとして在籍。
社内きってのアニメ大好き社員でもあり、入社翌年には原宿で展開中の「FASHION × OTAKU × CREATION」をテーマにしたショップ「PARK」の運営にも設立から従事。2017年にはPARKがキャラクター原案のTVアニメ「URAHARA」が全国放送、世界配信された。
http://www.park-harajuku.com
https://urahara.party/
曰く「HFに入社してWEBサイトを作る仕事をしていたと思ったら、いつの間にかアニメ制作の仕事に携わっていた。」

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